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ネットショップでのトラブル
ネットショップの特徴は、顧客がECサイトより商品を購入し、店側が商品を発送して受注契約が完了します。
顧客はいつでも注文できるメリットがある一方で、「商品を手に取れない」「商品が到着するまでに時間がかかる」などがデメリットです。
実店舗では「顧客は商品が手に取れる」「支払いを済ませると受注契約が完了する」のため、ネットショップと実店舗のトラブルに違いがあります。
これらの違いやトラブルについて理解があれば、事前にトラブルを防止するのにも役立つでしょう。
そこで、本記事ではネットショップにありがちな6つのトラブルを紹介します。
トラブル① ご注文キャンセル
ありがちなトラブルの1つ目は、顧客が注文をキャンセルすることです。
ネットショップをまだ運営されていない方であれば、「注文をキャンセルすることがトラブルなの?」と思うかもしれません。もちろん、ご注文のキャンセルができるタイミングもあるかもしれませんが、商品を発送してからであれば送料がすでに発生してしまいます。
また、配送準備段階であれば、商品を梱包材で包んだり、配送伝票の準備をしたりなど様々な業務が発生しています。この段階でキャンセルされると、梱包材や発送伝票がムダになるだけではなく、人件費も浪費することになるのです。
そのため、多くのネットショップでは、配送手続きの段階でキャンセルができなくなります。しかし、キャンセルができなくなるタイミングについては、顧客に伝える必要があります。
そこでトラブルを避けるためにも、「特定商取引法に基づく表示」でご注文のキャンセル方法について詳細を記載しましょう。
トラブル② 発送遅れ
次のよくあるトラブルは、発送遅れです。
顧客はネットショップだからといって、いつまでも商品が到着するのを待ってくれません。発送が遅かったり、発送完了のメールが届かなかったりすると、他のネットショップから購入することもあります。
そのため、商品をできる限り早く発送するのは、ネットショップ運営の基本といえるでしょう。
しかし、ネットショップを運営していると、どうしても発送遅れが発生することもあります。天候不順などで商品の入荷が予定より遅れたり、人的ミスで発送作業を失念したりすることがあるためです。
トラブルを回避するためには、まず人的ミスを削減する取り組みが必要となります。このようなミスが発生しにくい発送システムを構築するのが望ましいです。人的ミスが起こりやすい環境・システムであれば、いくら気を使って作業をしても同じミスを繰り返しやすいためです。
また、どうしても発送が遅れてしまう事情が発生した場合は、速やかに顧客にその旨を伝えましょう。キャンセルとなってしまう方もいるかもしれませんが、トラブルを最小限で抑えられます。
トラブル③ イメージ違い
3つ目のよくあるトラブルは、イメージ違いです。
顧客は、ネットショップで購入する際に手に取って商品を確認できません。そのため、商品が到着してから「思っていたのと違った」などのイメージ違いで、トラブルとなることがあります。
このトラブルの特徴は、すでに商品が顧客の手元にあり、ほとんどの場合で商品が開封されていることです。この商品の状態でも、返品を受け付けているネットショップもあれば、返品不可となるネットショップもあるでしょう。
しかし、顧客は絶対に返品ができると思い込んでいる方もいるためトラブルとなりやすいです。
顧客が絶対に返品できると思い込む理由に、クーリングオフ制度があります。
クーリングオフ制度は、一定期間以内であれば契約を解除できる制度です。しかし、クーリングオフ制度は、訪問販売などに適用される制度で、通信販売は適応外です。このような、顧客とネットショップ側の認識の違いがトラブルとなります。
このトラブルを避けるためには、「商材の写真を複数枚用意する」「できる限りサイズを詳細に書く」などイメージ違いが起こりにくいようにする配慮が必要です。
また、返品方法などについては、特定商取引法に基づく表示の「返品について」に必ず記載しましょう。
トラブル④ 商品の破損
顧客のもとに到着した商品が破損していると、顧客は次からネットショップを利用しなくなるかもしれません。
また、レビューなどに「破損していた」と投稿されるのは、サイトの信頼を失うことにもなります。
このように、商品が破損しているのは、トラブル以上に顧客を失う可能性があるためネットショップにおいて注意が必要です。
商品が破損しているトラブルを避けるためには、商品を丁寧に取り扱うことです。とくに、配送時に商品が破損しないように配慮しなければなりません。
具体的には、破損を防ぐ梱包材のクッション材・発泡スチロールなどを、商品に合わせて適切に使い分けることです。
トラブル⑤ 商品違い
5つ目のよくあるトラブルは、商品違いです。
商品違いとは、顧客のもとに注文した商品とは違うものを配送することです。
大規模な物流システムを利用して、梱包作業から発送作業までを自動化しているのであればこのようなミスは少ないかもしれません。
しかし、小規模のネットショップであれば手作業で梱包作業をすることが多く、このようなミスは起こりやすいです。
例えば、カラー違いの商品がある場合は、注文された色以外の商品を届けてしまうことがあります。
また、別の顧客へ発送すべき商品を互い違いに発送してしまい、それぞれ違う商品を届けてしまうこともあります。
このようなことが起きる原因は、発送伝票をそれぞれ張り間違えてしまったからです。このミスは商品が違うだけでは済みません。梱包内に納品書などが含まれていれば、個人情報を流出させることにもなりネットショップの信頼を失ってしまいます。
このようなトラブルを防ぐためには「注文通りの商品か」「梱包した商品と発送伝票に相違がないか」について二重、三重のチェック体制が必要です。
また、1人の担当者だけチェックをするのは、限界があるため複数人でのチェックが望ましいです。
トラブル⑥ お届け先の住所間違い
発送伝票に記載されている住所が、お届け先の住所と違っていると商品の到着が遅れることや、最悪の場合は商品が戻ってくることもあります。
お届け先の住所間違いが起こる原因は、主に以下の2つです。
購入者の入力間違い
このケースを防ぐためには、住所を入力する際に確認画面を設けることと、購入完了時に送信する確認メールで内容に間違いがないか再度確認してもらうことです。
発送作業時の入力ミス・転記ミス
ネットショップによって発送伝票を作成する際に、手作業での入力やコピペなどの作業を必要とする場合があるかもしれません。そのような際には、このようなミスが起こりやすいです。
コピペなどでも、文字が抜けてしまう可能性もあるためです。
ミスを防ぐためにも顧客が入力した情報に手を加えることなく、発送伝票へ転記できるシステムを導入しましょう。
ネットショップにどれくらい資金が必要なのか
ネットショップを開業するためには、ショップコンセプトの決定や出店方法の選定、仕入先の確保などさまざまな準備が必要となります。
その中でショップ運営に必要な資金を調達することも重要な項目のひとつです。
そうはいっても、ネットショップを開業・運営するにあたってどのくらいの資金が必要なのかはなかなか想像が難しいのではないでしょうか。
結論から書くと、ネットショップの開業・運営には最低数十万円の資金が必要といわれています。
そのほか運営するネットショップの規模や、機器や資材にどれだけお金をかけるかによっても大きく違ってきます。
最低限必要なものとしては、パソコンやカメラなどの機材、商品発送時の段ボールやテープなどの包装資材、通信費、商品を仕入れるための資金などが挙げられます。
しかし、パソコンやカメラなどはすでに自分で持っているものを使うことが可能かもしれません。
この場合は新たに発生する費用は減るため、必要な資金はその分少なくなるでしょう。
またネットショップの開業方法などによっても必要な資金が変わってきます。
例えば、楽天市場などのモール型のECサイトで開業する場合は追加で費用が掛かってくることは覚えておきましょう。
資金調達の方法を調べておく
ネットショップ運営を成功させるためには、資金を調達する方法も事前に調べておくことが大切です。
開業するにあたり自己資金だけで開業できればいいですが、なかなかそうはいきません。
資金は自分自身で用意するほかに、銀行などの金融機関から融資を受ける方法があります。
そのほかに国や地方自治体の補助金や、インターネット上で支援を呼びかけるクラウドファウンディングを活用する方法も検討すべきでしょう。
補助金やクラウドファウンディングなどの制度を利用することができれば、開業費用をかなり抑えることが可能となります。
補助金制度
補助金や助成金を利用することができれば、ネットショップ開業のための大きな資金調達が可能となるでしょう。
しかし補助金・助成金にはそれぞれ審査があり、審査に通過した場合にのみ制度の利用が可能となります。
利用できる対象者や条件が異なるため、概要や条件をしっかり調べたうえで検討しましょう。
代表的な補助金制度として「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」といったものがあります。
「小規模事業者持続化補助金」は商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいる一定の条件を満たした事業者が対象で、最大50万円(補助上限2/3まで)の補助金が利用できます。
「IT導入補助金」は中小企業生産性革命推進事業のひとつで、事業者が新たに生産性を向上させるためITツールなどを導入する際の資金を30〜450万円(補助率1/2)の間で補助する制度です。
クラウドファンティング(出資)
クラウドファウンディングとは、インターネット上の不特定多数の人に向けて資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同してくれた人から少しずつ資金を支援してもらうという資金調達の方法です
事業のアイデアや熱意を持つ人が呼びかけることで、趣旨に賛同した人が簡単に支援できるという特徴があります。
個人や小規模な人数でビジネスを始めようと思っている人にとっては、リスクが少なく資金調達を行うことがメリットです。
SNSなどで拡散や注目を集めると調達がスムーズにいくこともあり、学生起業の資金調達の方法としても人気が高いです。
また、クラウドファンディングには、支援者に金銭的なリターンがある「融資型」、支援金額に応じて商品やサービスをリターンする「購入型」、リターンがなく純粋な応援として寄付される「寄付型」といった種類があります。
融資
融資には銀行などの金融機関の他に、日本政策金融公庫、オンライン融資などがあります。
日本政策金融公庫は、中小企業や小規模事業者を支援する目的で融資をおこなっている金融機関で、国が100%出資をしています。
日本政策金融公庫は50種類以上の融資制度があり金利が低いのが特徴です。
ただし融資制度ごとに設定されている貸付条件が細かく異なります。
審査落ちしないためにも、申し込む場合はしっかりと条件を確認する必要があります。
オンライン融資とは、オンライン上で融資手続きが完結するサービスで、最大のメリットは申し込みから融資実行されるまでが速い点です。
加えて従来の銀行融資などと比較して対面での申し込みや、膨大な資料の準備が必要ありません。
利便性の高いオンライン融資ですが、デメリットとして一般的に金利が高めに設定されている場合が多いです。
資金繰りで失敗しないコツ
ある程度ショップで商品が売れていて日々売上があがる場合でも、出て行くお金の方が大きくならないように注意が必要です。
そうはいっても、闇雲にコストや仕入れをカットしたせいで機会損失を出してしまっては意味がありません。
そこで今回は資金繰りで失敗しないコツを紹介していきたいと思います。
具体的には下記の3つのコツをそれぞれ解説していきます。
- ・売り切れる数量を仕入れる
- ・帳簿付けなどで日々チェックする
- ・開業資金がかからないネットショップへ出店
売り切れる数量を仕入れる
素敵な商品・人気の商品だからといって最初から大量に在庫を抱え込むのはおすすめしません。
在庫を抱え込むことによって、他に売れる商品を仕入れることができなくなることや、在庫を抱えておくためのスペースが必要となるデメリットが生まれます。
加えて、いくら人気の商品でも流行や代替品の登場などによって売るのが難しくなるというリスクが発生します。
在庫を大きく抱えすぎず、確実に売り切れる数量を仕入れることが資金繰りの上でも重要となります。
機会損失を逃さないためにも、マーケティングリサーチをしっかり行い適正な数量を仕入れましょう。
帳簿付けなどで日々チェックする
ショップ運営するにあたっては、今日はどれだけ売れたのか、すぐに支払えるお金はいくらあるのか、商品の代金はいつ入金されるのか、など毎日帳簿付けを行い管理するのが理想です。
日々細かく管理することによって、現在のショップの運営状況や、全体の資金の流れを把握できます。頭に入れておくことによって資金繰りにも安定感がでるでしょう。
またネットショップ開業後の収入は事業収入になるので毎年の確定申告が必要となります。
確定申告は1 月 1 日から12 月 31 日までの間の売上や費用などの会計結果を報告・提出する必要があります。
確定申告のためにも日々コツコツと仕訳することが望ましいといえます。
月1000円程度から利用できる会計ソフトもあるのでぜひ検討してみてください。
開業資金がかからないネットショップへ出店
ネットショップ開設サービスには、個人でも簡単に開業でき、初期費用や月額が0円で開業・出店できるものもあります。
決済手数料はかかりますが、『BASE』や『STORES』、『カラーミーショップ』などのサービスでは初期費用0円と低リスクでネットショップを始められるので、初回の固定費を抑えたいという方におすすめです。
また手数料は比較的割高ですが集客に期待できるYahoo!ショッピングも初期費用・月額費用0円で開設が可能です。
しかし無料で始められるネットショップ開設サービスは、大手ECモールのような自動集客はあまり期待できないほか、カスタマイズがしにくい、オリジナリティが出しづらいといったデメリットがあります。
中長期的にショップを運営する場合には別のサービスの検討も必要となってくるでしょう。